2026年4月

安心・安全
遵法精神の重要性新着!!

営業継続の条件は「技能」だけではない Compliance as a Precondition for Business Continuity in Japan’s Marine Leisure Industry エグゼクティブ・サマリー 第1章 現状分析 日本のマリンレジャー事業は、観光需要を支える重要なサービスである一方、人命に直接関わる海域利用型事業である。このため、一般的な観光サービスよりも広い法体系の理解が必要になる。船で利用者を運ぶなら海上運送法、陸上で送迎するなら道路運送法、スタッフを働かせるなら労働関係法令、潜水業務をさせるなら高気圧作業安全衛生規則、予約をネットで受けるなら特定商取引法、広告表示を出すなら景品表示法、顧客名簿や緊急連絡先を扱うなら個人情報保護法制、船上や受付所で飲料を提供するなら食品衛生法上の整理、反社会的勢力排除を行うなら各都道府県の暴力団排除条例や政府指針の理解が必要になる。マリンレジャー事業は、現場運営だけでなく、契約、衛生、労務、情報管理、取引管理を含む複合事業として理解する必要がある。 海上保安庁が公表した令和6年の海難発生状況速報値では、マリンレジャー活動に伴う人身事故者数は830人、死者・行方不明者数は212人であった。第11管区海上保安本部の資料では、同年のマリンレジャーに伴う人身事故のうち、活動別ではスノーケリング中・遊泳中が約6割を占め、ダイビング中を除く死者・行方不明者の約9割がライフジャケット非着用とされている。事故は例外的事象ではなく、業界全体が継続的に向き合うべき実務課題である。 ここで重要なのは、事故や違反が問題になる場面では、結果そのものだけでなく、事前にどのような管理体制で営業していたかが問われることである。たとえば、天候判断を誰が行ったのか、参加者への説明をどのように行ったのか、ライフジャケットの着用確認をどう記録したのか、緊急時の連絡系統を定めていたのか、送迎の法的位置付けを確認していたのか、飲料提供の衛生管理をどうしていたのか、参加者・取引先に対して反社排除条項を整えていたのか、といった点である。遵法精神とは、法令を知っていること自体よりも、営業実態を確認可能な形で整える姿勢を意味する。 第2章 技術的解決策 技術的解決策の中心は、安全判断を属人的な経験則から、記録可能で再現可能な運用へ移す

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