SEAKERを活用したデモンストレーション
2025年1月16日、一般社団法人マリンレジャー振興協会(AMP)は、総務省の地域デジタル基盤活用推進事業の一環として、SEAKERを活用した海難救助のデモンストレーションを実施しました。この取り組みは、従来の捜索方法に革命を起こすもので、リアルタイム位置追跡技術を活用したピンポイント捜索と救助の実現を目指しています。
本記事では、デモ当日の流れや参加者の声、ELTRES技術の可能性について詳しくお伝えします。
デモンストレーションの背景と目的
このデモンストレーションの主な目的は、漂流ダイバーの迅速な救助を可能にする技術の実証です。SEAKERが装着されたダイバーの位置情報を、ELTRES受信網を通じてリアルタイムで追跡し、従来の捜索と比較して大幅に効率的な救助方法を提示しました。
特に海域では、逆光や波の影響で視界が悪化し、捜索が困難になることがあります。しかし、ELTRES技術により、こうした課題を克服し、捜索範囲を極限まで絞り込むことが可能です。
デモンストレーション当日の様子
当初、デモは午前中に行われる予定で、行政や報道関係者も参加する計画でした。しかし、当日は海況が悪く、午後に実施時間を変更。最終的にmic21のアンバサダーのみが参加する形で行われました。午後でも海のうねりは残り、船は揺れる厳しい環境下での実施となりました。
デモの主な内容は以下の通りです :
- SEAKERを装着したダイバーが海上にエントリー。
- 船がダイバーの視界から完全に消える地点まで移動。
- リアルタイム位置情報を基にしたピンポイント救助の実演。
- 漂流ダイバーを安全に回収後、帰港。
漂流ダイバーの役を務めた参加者からは、「船が見えなくなった時の心細かった」という声がありました。ELTRES技術が正確に位置を捉え、船が自分たちのところへ真っ直ぐ救助に向かってきたことを確認しSEAKERの実力を実感できたとのことです。
サイレントドリフトダイビングの体験
デモの後半では、mic21アンバサダーたちに「サイレントドリフトダイビング」を体験してもらいました。この新しいダイビングスタイルは、浮上したダイバーの位置に船が迎えに行くため、船のエンジン音がなく、静かにダイビングを楽しめるのが特徴です。
さらに、この日は沖縄のホエールシーズン中で、鯨の歌声が海中に響く中でのダイビングとなり、参加者からは「これまでにない特別な体験だった」との声が上がりました。
SEAKERとELTRES技術の可能性
今回のデモンストレーションを通じて、SEAKERとELTRES技術の有用性が改めて確認されました。
- 迅速な救助 : ダイバーの位置を正確に把握できるため、救助までの時間を大幅に短縮。
- 安全性の向上 : 船がダイバーを追いかける従来の方法に比べ、安全性が格段に向上。
- コスト削減 : 広範囲捜索にかかる燃料費や人件費を抑えることが可能。
この技術は、沖縄だけでなく全国の海域での安全対策としての活用が期待されます。
革新がもたらす未来の救助体験
今回のデモは、沖縄の海域での安全性向上に向けた一歩であると同時に、マリンレジャー全体における安全意識の向上を促すものでした。参加者たちが体感した技術の可能性は、今後さらに多くの人々に広まっていくことでしょう。
未来の海難救助を担う技術を体感し、沖縄のマリンレジャーの発展に寄与するこの取り組みに、ぜひ注目してください。